複雑な問題は、それが発生した意識レベルでは解決できない。意識をより深く、包括的なレベルに置くことで、解決策は自ずと現れる
私たちは、複雑な問題に直面した時、どうするでしょうか。 必死に「考え」、情報を「探し」、あらゆる角度から「分析」しようとします。 私たちは、答えが「外側」にあると信じ、論理と思考という「水平方向」の努力を際限なく続けます。
しかし、その結果、何が起こるでしょうか。 考えれば考えるほど、堂々巡りに陥り、思考はノイズに満ち、私たちは「壁にぶつかった」と感じます。 出口のない迷路の中で、私たちは疲弊していきます。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。 それは、私たちが「答えのない場所」を必死に探しているからです。 サブタイトルにある通り、「複雑な問題は、それが発生した意識レベルでは解決できない」のです。
では、答えはどこにあるのか。 それは、私たちが「探している」その意識レベルより、深く、静かで、より「包括的なレベル」にあります。
この記事では、TM(超越瞑想)が、いかにして私たちの意識を「問題のレベル」から「答えのレベル」へとシフトさせるのか、その「意識のテクノロジー」としての深遠なメカニズムを探求します。
なぜ「探す」と答えが見つからないのか?:「問題のレベル」の限界
私たちが「考える」とき、意識はどこにあるのでしょうか。 それは、シリーズ第8回で用いた「心の海」の比喩で言えば、絶えず波立つ「海面」にあります。 ここは、日々の思考、感情、分析が渦巻く「活動(Doing)」の領域です。
この「海面」こそが、「問題が発生した意識レベル」です。 そして、このレベルには、二つの大きな限界があります。
第一に、このレベルは「ノイズ」だらけである、ということです。 前回の記事で探求したように、私たちの神経系には「ストレス」や「緊張」(錆)が蓄積されています。 この「ノイズ」が、私たちの思考を曇らせ、視野を狭くします。 私たちは、森全体(問題の全体像)を見る能力を失い、目の前の木(問題の断片)にばかり囚われてしまいます。
第二に、このレベルは「分析的」ではあっても、「包括的」ではない、ということです。 「海面」は、海全体の広がりや深さを知りません。 論理や分析は、既存の情報を「組み合わせる」ことはできても、まったく新しい、創造的な「答え」そのものを生み出すことはできません。
この「ノイズ」に満ちた、「視野の狭い」レベルで必死に「探す」行為。 それこそが、問題をさらに複雑にし、私たちを疲弊させる「努力」の正体なのです。
「答えのレベル」とはどこか?:「存在」という知性の貯蔵庫
もし、答えが「海面(問題のレベル)」にないのなら、それはどこにあるのでしょうか。 それは、「深海」、すなわち「心の源泉」にあります。
『存在の科学と生きる技術』は、この源泉の領域を「存在(そんざい)」あるいは「純粋意識」と呼びます。 ここは、すべての思考、すべての創造性が生まれてくる「絶対的」な領域です。
この「存在」のレベルは、単に「静か」なだけではありません。 そこは、宇宙のあらゆる「知性」と「秩序」が収められた、「無限の貯蔵庫」なのです 。 花が咲き、惑星が巡る、あの完璧な「自然の法則(自然法)」が、その本質として満ちている領域です 。
私たちが「海面」で必死に探している「複雑な問題の答え」は、実は、この「深海(存在)」のレベルには、すでに「完璧な解決策」として存在しているのです。 それは、あらゆる側面と影響を「包括的」に理解した、最も効率的で、最も「生命を育む」答えです。
テクノロジーの核心:意識を「問題」から「答え」のレベルへ
問題は、「どうやって」そのレベルにアクセスするか、です。 「海面」から「深海」へは、「考える」ことでは到達できません。 それは、「超越(ちょうえつ)」することによってのみ可能です。
ここに、超越瞑想が「意識のテクノロジー」と呼ばれる所以があります。 超越瞑想は、意識を「問題のレベル」から「答えのレベル」へと、自動的にシフトさせる「乗り物」だからです。
そのメカニズムは、心が持つ「常により大きな幸福へ向かう」という自然な傾向を利用します 。 「海面(思考)」の魅力よりも、「深海(存在)」が持つ「至福」の魅力のほうが、はるかに大きいのです。
超越瞑想を実践すると、心は、何の努力もなしに、 「探す」という水平方向の活動をやめ、 「深海」に向かって「垂直」に沈んでいきます。 そして、思考の源泉である「超越意識」(第四の意識状態)に到達します。
なぜ、答えは「降りてくる」のか?
意識が「答えのレベル(存在)」に到達した時、二つの決定的なことが起こります。
1. 「ノイズ」の浄化(Purification) まず、体は「安らぎに満ちた機敏さ」という、深い眠りさえも超えた、最も深い休息状態に入ります 。 この深遠な休息が、私たちの「視野」を曇らせていた「ノイズ(ストレス、緊張)」を、神経系から根こそぎ「浄化」します 。 迷路の中で立ち込めていた「霧」が、晴れるようなものです。
2. 「秩序」の注入(Infusion) 次に、心は「存在」の領域に触れることで、その「質」を自らに吸収します。 その「質」とは、「知性」であり、「創造性」であり、何よりも「包括的な秩序」です。 私たちの心は、「答え」そのものの性質(秩序)を、自らの内側に「注入」されるのです。
そして、瞑想を終え、心が「海面(活動)」に戻ってきた時。 私たちは、もはや瞑想を始める前と「同じ意識レベル」にはいません。
「霧(ストレス)」は晴れ、心は「秩序(答えの性質)」を帯びています。 すると、以前は「ノイズ」に隠れて見えなかった、あるいは「視野」が狭くて気づけなかった「道(解決策)」が、自然に、そして明確に「認識」できるようになります。
これが、答えが「降りてくる」メカニズムです。 私たちが「探した」のではありません。 私たちが、自らの意識を「答えのあるレベル」に置き、そこから「ノイズ」を取り除いた結果、 答えが「自ずと現れた」のです。
超越瞑想とは、「答えを探す」努力をやめ、「答えを受け取る」ための器(意識)を整える、最も科学的で、最も効率的な「意識のテクノロジー」なのです。
まとめ
- 複雑な問題が解決しないのは、私たちが「問題が発生したレベル(思考の海面)」で、必死に「探して」いるからです。このレベルは「ノイズ(ストレス)」に満ち、視野が狭くなっています。
- 「答え」は、思考の源泉である「存在(深海)」のレベルに、完璧な「秩序」と「知性」として、すでに存在しています 。
- 超越瞑想は、心を「努力なく」問題のレベルから「超越意識」(第四の意識状態)という「答えのレベル」へとシフトさせる、意識のテクノロジーです 。
- このプロセスは、神経系の「ノイズ(ストレス)」を「浄化」し 、心に「秩序」を「注入」します。その結果、解決策は「探す」までもなく、自然に「降りてくる」のです。
「探す」のをやめ、 「超越」する時。 あなたは、 問題の「一部」であることをやめ、 答えの「全体」の一部となるのです。
さて、私たちは、 「答え」が、 より深く、包括的な意識レベルにあることを知りました。
では、この「意識のレベル」そのものを、 永続的に「成長」させ、 脳を柔軟に保ち続けることは可能なのでしょうか。
次の記事では、 「何歳になっても成長できる『学び続ける脳』の作り方」 と題して、超越瞑想が、 いかにして年齢という常識を超え、 脳の柔軟性を育むのか、その秘密に迫ります。
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