【TM教師が解説する「超越瞑想」シリーズ8】「超越」とは何か? 5分でわかる超越瞑想の核心コンセプト

心が思考のさざ波を超え、その最も静かな源泉に到達する自然なプロセス

【ステージ1:日常の悩みと「意識」の接点】では、超越瞑想が「疲れ」「ストレス」「人間関係」「睡眠」といった日常の具体的な悩みに、いかに根本的な解決をもたらすかを探求してきました。

私たちは、その答えが常に「意識の源泉」に触れることにある、と述べてきました。

では、このシリーズの核心であり、TM(超越瞑想)という名称の由来でもある、「超越(ちょうえつ)」とは、一体何なのでしょうか。 それは、神秘的な体験なのでしょうか。 あるいは、ごく一部の人にしか到達できない、難しい精神状態なのでしょうか。

答えは、そのどちらでもありません。 「超越」とは、私たちの心が持つ、最も自然で、最も普遍的な機能の一つです。

この記事では、この【ステージ2:心と脳の潜在能力を解き放つ】の幕開けとして、超越瞑想の核心コンセプトである「超越」の哲学と、その自動的なメカニズムを解き明かします。


心の二つの領域:思考の「海面」と、存在の「深海」

私たちの「心」とは、一体何でしょうか。 私たちは普段、心とは「思考」や「感情」のことだと考えています。 次から次へと湧き上がる考え、計画、記憶、不安。

しかし、『存在の科学と生きる技術』は、心を広大な「海」に例えて、その全体像を示します。

私たちが「思考」と呼んでいるのは、海の「表面(海面)」で起きている「波(さざ波)」にすぎません。 風(外界からの刺激)が吹けば、波は立ちます。 私たちは普段、この絶えず波立つ海面だけを見て、これを「心」のすべてだと思い込んでいます。

しかし、海の本当の姿は、その「深海」にあります。 深く潜れば潜るほど、波は静かになり、そこには、広大で、静かで、計り知れないほどの力に満ちた、水そのものの「全体」が広がっています。

この静かな「深海」こそが、私たちの心の「源泉」です。 すべての波(思考)が生まれてくる場所。 それが「存在(そんざい)」、あるいは「純粋意識」と呼ばれる領域なのです。


「超越」とは「波」を超えるプロセス

この海の比喩を使うなら、「超越」とは何かを定義するのは簡単です。

「超越(Transcendence)」とは、文字通り「超え(Trans-)」て「行く(-scend)」こと。 それは、心の意識が、海面の「波(思考)」の領域を超えて、その源である「深海(存在)」の領域へと、自然に沈んでいく「プロセス」そのものを指します。

ここで、他の瞑想法との決定的な違いが明らかになります。

多くの瞑想法は、「波(思考)」をどうにかしようとします。 「波を無理やり止めよう」とするのが、「集中」です。 「波をただじっと観察しよう」とするのが、「観察(マインドフルネス)」です。 どちらも、意識は「波」のレベルに留まったままです。

しかし、超越瞑想は、波を止めようとも、観察しようともしません。 それは、波立つ海面から、「深海」へと「ダイブ(潜水)」する技術です。


なぜ心は「自然に」超越するのか? 意識のテクノロジー

「しかし、どうやって?」 「どうすれば、心は自ら静かな深海へ潜っていくのか?」

ここにこそ、超越瞑想が「意識のテクノロジー」と呼ばれる所以があります。 それは、意志の力や「頑張り」を一切使わず、心が持つ「ある絶対的な性質」を利用するからです。

その性質とは、シリーズ第2回と第6回でも触れたように、「心は、常により大きな幸福の場へと向かう」という自然な傾向です。

私たちの心の「深海」、すなわち「存在(純粋意識)」の領域は、ただ静かなだけではありません。 『存在の科学と生きる技術』は、その本質を「至福意識(アーナンダ)」と呼んでいます。 それは、絶対的な幸福、満足、そして計り知れない魅力に満ちた領域なのです

海面の「波(思考)」が持つ魅力よりも、その源泉である「深海(存在)」が持つ「至福」の魅力のほうが、はるかに、はるかに大きいのです。

超越瞑想は、この「心の性質」を原動力として利用します。 正しいマントラ(思考の乗り物)を与えられた心は、より大きな幸福と魅力に引かれ、何の努力もなしに、自動的に、その源泉へと向かって沈んでいきます。 それは、蜜蜂が蜜に引かれるように、ごく自然で、楽なプロセスなのです


超越意識:第四の主要な意識状態

そして、ついに心は、思考の最も精妙なレベル、その最後の「さざ波」さえも超越します。 意識は、活動(思考)の領域を完全に超え、自らの源泉である「純粋な存在」の静寂に到達します。

この時、心は眠っているのではありません。 意識は、かつてないほど「明晰」に目覚めています。 しかし、そこには思考も、感情も、知覚もありません。 ただ、「在る」ことそのものを、意識が純粋に体験している状態です。

これが、目覚め・夢・眠りという三つの意識状態とは根本的に異なる、「第四の主要な意識状態」、すなわち「超越意識」です。

この状態にあるとき、体は「安らぎに満ちた機敏さ」と呼ばれる、深い眠りさえも超えた、最も深く、最も秩序だった休息の状態に入ります

この「超越意識」の状態こそが、神経系に蓄積された「錆(ストレス)」を根こそぎ解消し 、心と体にエネルギーを「充電」する、すべての変容の源泉なのです。

「超越」とは、神秘的な奇跡ではなく、人間の神経系に標準装備された、心の「帰郷」のプロセスなのです。


まとめ

  1. 私たちの心は「海」に例えられ、表面の「波(思考)」と、その源泉である「深海(存在・純粋意識)」の二つの領域を持っています。
  2. 「超越」とは、心が思考の波を超え、その源泉である「存在」の領域に、自然に沈んでいく「プロセス」そのものです。
  3. このプロセスは、「存在」の領域が持つ「至福(絶対的な幸福)」に、心が自動的に引き寄せられることで起こる、努力のいらない自然なものです 。
  4. 超越によって到達する「超越意識」は、目覚め・夢・眠りとは異なる「第四の意識状態」であり、心身に最も深い休息と浄化をもたらします 。

心の故郷である、 静かな「存在」の領域に帰ること。 それが「超越」です。 そして、その体験こそが、 あらゆるパフォーマンスの基盤となります。

さて、「超越」が意識の最も静かな状態であることが分かりました。 では、スポーツ選手やアーティストが語る、あの最高の集中状態、「ゾーン(フロー状態)」とは、何が違うのでしょうか。

次の記事では、**「『ゾーンに入る』を意図的に起こす:TMとフロー状態の深い関係」**と題して、日々の「静寂」の体験が、いかにして日中の「活動」の質を高めるのか、そのメカニズムに迫ります。

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