【TM教師が解説する「超越瞑想」シリーズ16】過去や未来の悩みから解放される「永遠の今」を体験する

瞑想中に訪れる、時間感覚が消えた純粋な「存在」の次元。私たちの脳が体験できる、もう一つの静寂な世界

「あの時、ああしていれば」 「この先、どうなってしまうのだろう」

私たちの「悩み」や「苦しみ」は、そのほぼすべてが、「過去」への後悔か、「未来」への不安によって構成されています。 私たちは、「今、ここ」という瞬間に生きていながら、意識は常に「時間」という名の牢獄に囚われています。

「今を生きよ」と、多くの哲学は説きます。 しかし、私たちは、どうすれば「今」にいられるのか、その「方法」を知りません。 意志の力で「今に集中しよう」と「努力」すればするほど、私たちの心は、かえって過去や未来へと逃げていってしまうのです。

なぜ、私たちはこれほどまでに「時間」に縛られるのでしょうか。 そして、この牢獄から抜け出す、実践的な「鍵」はあるのでしょうか。

TM(超越瞑想)は、この根源的な問いに対し、「努力」ではなく、「意識のテクノロジー」によって答えます。 それは、私たちが「時間」と呼んでいるものが存在する「意識レベル」そのものを、一時的に「超越」するプロセスです。

この記事では、「時間」の正体と、超越瞑想中に訪れる「時間感覚が消えた」純粋な「存在」の次元について、その哲学的なメカニズムを探求します。


「時間」の正体:それは「変化」の測定である

まず、「時間」とは何でしょうか。 『存在の科学と生きる技術』の視点に立てば、時間は「絶対的」なものではありません。 時間は、「相対的」なものです。

時間は、常に「変化」を測定する単位としてのみ存在します。 太陽が昇り、沈む(変化)。 思考が生まれ、消えていく(変化)。 体が生まれ、老いていく(変化)。

私たちが「時間」と呼んでいるのは、この絶え間ない「変化」が起こる領域、すなわち「相対的な世界」のことです。 そして、この「変化」が最も激しく起こっている場所こそ、私たちの「心(思考)」、すなわち「心の海面」です。

「過去」とは、過ぎ去った「思考(波)」の記憶です。 「未来」とは、これから来るかもしれない「思考(波)」の予測です。 私たちが「時間」に囚われているとは、私たちの意識が、この「海面(思考)」の領域に、完全に「束縛」されている状態を意味します。


「永遠の今」の正体:それは「変化のない」絶対の領域

では、「時間」のない領域は存在するのでしょうか。 はい、存在します。 それは、「変化」そのものが存在しない領域です。

それが、私たちの心の「深海」、すなわち「存在(そんざい)」の領域です。

『存在の科学と生きる技術』は、この「存在」の領域を、「絶対的」であり、「永遠」であり、「不変」であると定義します 。 そこは、すべての「波(思考)」が生まれてくる源泉でありながら、それ自体は、決して波立つことのない、静寂な「海」そのものです。

「変化」が一切ないため、「時間」という概念も、そこには存在しません。 そこにあるのは、始まりも終わりもない、ただ一つの「永遠の今」です。 これこそが、私たちの意識の故郷であり、あらゆる生命の基盤である「絶対的」な現実なのです。


テクノロジーの核心:意識を「時間」から「永遠」へシフトさせる

問題は、どうすれば「時間(海面)」から「永遠(深海)」へと、意識をシフトできるのか、です。 「考える」ことでは不可能です。なぜなら、「考える」という行為そのものが、「時間(海面)」の領域に属しているからです。

唯一の道は、「思考」を「超越(ちょうえつ)」すること。 思考のプロセスそのものを、一時的に「停止」させ、心の源泉である「存在」に「帰り着く」ことです。

ここに、超越瞑想が「意識のテクノロジー」と呼ばれる所以があります。 超越瞑想は、心が持つ「常により大きな幸福へ向かう」という自然な傾向を利用します

「時間(思考)」の領域が持つ魅力よりも、「永遠(存在)」の領域が持つ「至福(アーナナンダ)」の魅力のほうが、はるかに大きいのです 。 心は、何の努力もなしに、 「考える」という海面の活動をやめ、 自らの起源である「深海(存在)」へと、 自動的に、そして自然に「沈んで」いきます。


超越意識:時間感覚が消えた「もう一つの世界」

そして、心が思考の最後のさざ波さえも超えた時。 意識は、「時間」の牢獄から完全に解放されます。

これが、目覚め・夢・眠りとは異なる、「第四の主要な意識状態」、すなわち「超越意識」です

この時、意識は「何を」体験しているのでしょうか。 そこには「過去」も「未来」もありません。 そこには「変化」がありません。 ただ、「純粋な存在」が、「永遠の今」として、無限に広がっているだけです。

意識は、「時間」から解放され、その本質である「永遠」を、直接体験します。 これこそが、サブタイトルにある「私たちの脳が体験できる、もう一つの静寂な世界」の正体です。 それは、哲学的な「概念」ではなく、私たちの神経系が体験可能な、具体的な「生理状態」なのです。


なぜ、過去と未来の「悩み」から解放されるのか

では、1日2回、わずか20分間、この「永遠の今」に触れることが、なぜ、私たちの日常の「悩み」から、私たちを解放するのでしょうか。 そのメカニズムは、二重の構造になっています。

1. 哲学的な解放:基盤の確立 まず、心は「存在」という、時間に左右されない「絶対的」な基盤(イカリ)を手に入れます。 日常の「波(悩み)」に直面しても、もはや、その波に完全に飲み込まれなくなります。 「私は、波ではなく、海そのものである」という内なる安定感が育ち、過去や未来の出来事を、より「拡大した視野」から、冷静に眺められるようになります。

2. 生理学的な解放:束縛の解消 これが、より根本的なメカニズムです。 私たちが「悩み(過去や未来)」に「執着」してしまうのは、なぜでしょうか。 それは、神経系に蓄積された「ストレス(錆)」が、接着剤のように、私たちの意識を「悩み」に縛り付けているからです。

「超越意識」の状態で得られる「安らぎに満ちた機敏さ」 は、この「接着剤(ストレス)」を、根こそぎ「浄化」し、洗い流します

ストレスが解消されると、神経系は「しなやかさ」を取り戻します。 もはや、心は「過去の傷」や「未来の不安」に、不必要に「執着」する必要がなくなるのです。 悩みは、ただの「情報」として認識され、私たちを「苦しめる」力を失っていきます。


まとめ

  1. 私たちの「悩み」は、「過去」か「未来」という「時間」の領域(思考の海面)でのみ存在します。
  2. 「時間」とは「変化」の測定であり、「相対的」なものです。それに対し、「変化」のない「絶対的」な領域が「存在(深海)」であり、これこそが「永遠の今」です 。
  3. 超越瞑想は、心の自然な傾向を利用し、意識を「時間(思考)」のレベルから「永遠(存在)」のレベル(超越意識)へと、自動的にシフトさせる「意識のテクノロジー」です 。
  4. この「永遠の今」の体験は、心に「安定した基盤」を与えると同時に、深い休息が「ストレス(悩みへの執着)」を「浄化」するため、私たちは時間という牢獄から解放されます 。

「時間」の牢獄の「鍵」は、 「外側」にはありません。 それは、 あなたの「内側」で、 思考が静まり、 「時間」が生まれる前の 「永遠」に触れることにあるのです。

さて、私たちは、 「私」の起源が、 そして「永遠の今」が、 この「存在」の領域にあることを知りました。

では、私たちが人生で 必死に追い求めている「幸福」も、 同じ場所にあるのではないでしょうか。

次の記事では、 なぜ私たちは幸福を追い求めるのをやめられないのか? と題して、「存在」の本質が「至福」そのものであること、深遠な真実と幸福との関係について探求していきます。

********************

〈 TM教師が解説する「超越瞑想」シリーズ 〉をお読みいただき、ありがとうございます。

  1. シリーズの旅を、さらに続ける
    この学びをさらに深めるために、他のテーマもご覧になりませんか?

    下にスクロールするとシリーズの「次のテーマ」に進めます。

  》》》〈 TM教師が解説する「超越瞑想」シリーズ 〉 全記事リストへ戻る


  1. 知識を、あなたの「体験」へ
    最も直接的で、科学的に検証された方法で、あなた自身の内なる静寂に触れてみませんか。

    》》》TM(超越瞑想)サイト TOPページへ




  2. 源泉の叡智に、直接触れる
    このシリーズの源泉となったマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの歴史的著書。その深遠な知識を、あなたの人生の羅針盤に。

  》》》マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー著「超越瞑想」の購入サイト(Amazon)へ